2026年労基法改正】ポイントは4つ!高市ショックと「つながらない権利」が変える働き方

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「労働時間の規制が緩和されるって本当?」「副業がしやすくなるの?」

2025年、労働基準法(労基法)の改正を巡るニュースが連日報じられています。
特に10月の高市総理による「労働時間規制の緩和指示」は、大きな波紋を呼びました。

今回の改正は、戦後長く続いた「工場法モデル」からの歴史的な転換点と言われています。2026年の法案提出、2027年の施行を見据え、私たちの働き方はどう変わるのでしょうか?

この記事では、複雑な議論のポイントを整理し、ビジネスパーソンが押さえておくべき「4つの変化」と今後の見通しを解説します。


なぜ今、労働基準法の大改正なのか?

現行の労働基準法は1947年に制定されました。当時は「工場で集団的に働く」ことが前提でしたが、現代はテレワークやギグワークなど働き方が多様化しており、法律と実態のズレが限界に達しています

2025年の議論は、当初は厚労省主導の「保護強化」路線でしたが、秋以降、官邸主導の「規制緩和」路線が衝突する激動の展開となりました

この法改正が目指しているのは、「会社に時間を捧げる働き方」から「自律した個人が契約に基づき働くモデル」への移行です。では、具体的に何が変わるのか、主要な4つの論点を見ていきましょう。


ポイント1:フリーランス・ギグワーカーの「労働者性」

Uber Eatsに代表されるプラットフォームワークの拡大により、「雇用によらない働き方」が増加しました。これに対し、新しい判断基準で彼らを「労働者」として保護すべきかどうかが議論されています

新しい判断基準の要素

これまでは「指揮命令があるか」が重視されていましたが、以下の要素も検討されています

  • アルゴリズム管理: 人間の上司ではなく、アプリやAIによる実質的な指示があるか。
  • 経済的従属性: そのプラットフォームからの収入に生計を依存しているか。

もし「労働者」と認定されれば、最低賃金や労災保険の対象となります。企業側(プラットフォーマー)にとってはビジネスモデルの転換を迫られる可能性があり、2026年の法案にどこまで盛り込まれるかが焦点です


ポイント2:「つながらない権利」と休息の義務化

デジタルツールの普及で、退勤後や休日でもメールやチャットが届く「常時接続」が問題視されています。これに対応するため、以下の2つの規制強化が検討されています。

つながらない権利(Right to Disconnect)

勤務時間外の業務連絡を拒否しても、評価を下げられるなどの不利益を受けない権利です

  • 方向性: 連絡自体を法的に「禁止」するのではなく、労働者が拒否できる「免責権」として整備される見通しです。

勤務間インターバル制度の義務化

終業から翌日の始業までに、一定時間(例:11時間)の休息を確保する制度です

  • 方向性: これまでは努力義務でしたが、高市総理の規制緩和指示に対する「労働側の防衛ライン」として、義務化される可能性が高まっています。
  • 連続勤務規制: 抜け穴を防ぐため、「14日以上の連続勤務禁止」などのルールも検討されています。

ポイント3:副業・兼業の「労働時間通算」の行方

「副業をしたいけれど、手続きが面倒」という声をよく聞きます。その最大の壁が、本業と副業の労働時間を合算して残業代を計算する「労働時間通算規定(労基法38条)」です

労使の対立

  • 企業側(経団連など): 管理が不可能なので「撤廃」を要望。
  • 労働側(連合): 過労死防止のため「維持」を主張。

今後の見通し

議論は平行線ですが、通算ルール自体は残しつつ、労働者自身の申告に基づく「簡易管理制度」を導入する妥協案が有力視されています。これにより、これまでより副業へのハードルが下がることが期待されます。


ポイント4:「高市ショック」による労働時間規制の緩和

2025年10月、高市総理が指示した「労働時間規制の緩和」は、最大の波紋を呼びました

何が起きるのか?

「働きたい人は時間の制約なく働けるようにする」という方針ですが、これは実質的に残業時間の上限規制を外すことを意味します。 労働組合や過労死遺族からは「過労死を助長する」「長時間労働の強制につながる」と猛反発が起きています

予想される着地点

全面的な規制緩和は反発が強いため、対象を「年収が高い高度専門職」に限定したり、前述の「インターバル規制の義務化」とセットで導入する形での決着(痛み分け)が予想されます


私たちはどう備えるべきか?

2027年の施行に向け、労働環境は「会社が守ってくれる」ものから、「自律的に管理するもの」へと変化していきます。

1. 自分の「時間」を守る意識を持つ

「つながらない権利」が認められても、それを行使するのは自分自身です。オンとオフの切り替えを明確にするスキルが求められます。

2. コンプライアンスの強化(企業・専門家向け)

法改正に伴い、社会保険労務士(社労士)の権限が強化され、企業の法令遵守状況を監査する役割が期待されています。企業は、労基署だけでなく社労士によるチェックを受けることがスタンダードになるでしょう


まとめ

2026年の労働基準法改正は、単なるルールの変更ではなく、日本型雇用システムの「終わりの始まり」です

  • ギグワーカーの保護(労働者性の拡大)
  • つながらない権利・インターバルの導入(休息の確保)
  • 副業ルールの簡素化(キャリア自律)
  • 一部の規制緩和(働き方の柔軟化)

これらがセットで進められます。 法案の詳細は2026年の国会で決定しますが、これからは「自分の健康とキャリアは自分で守る」という意識が、より一層重要になる時代がやってきます。

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